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こんにちは、MUCHOJIです。
初めて当ブログをご訪問の方は、「はじめに」をお読みください。
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スタインウェイ ファクトリーツアー
昨年の今頃、アストリアにあるスタインウェイピアノの工場見学に申し込もうとしたらその年の12月まですべて予約済み!という衝撃の競争率に驚愕したのですが、ウェイティングリストに登録しておいたら忘れた頃に連絡をいただき...
ようやく1年後に見学することができました!
でも条件は一人のみ... と。
なお、実は裏技もあって、スタインウェイのお店で、ピアノ教師としての登録をしておくと、この正規の方法で応募しなくても、別の時期にピアノの購買意欲のある生徒さんを連れて見学をすることができます。
ピアノ教師の方はぜひこの方法を!
スタインウェイ&サンズ社は、1853年にドイツから移住したヘンリー・エンゲルハート・スタインウェイによって、マンハッタンのヴァリック通りに創立されたピアノ会社。
その後の30年間で、ヘンリーとその息子たち、C.F.セオドア、チャ―ルス、ヘンリー・ジュニア、ウィリアム、そしてアルバートが、近代ピアノ製造における基礎を築き上げます。
ハンブルクに工場があるので、よくドイツの会社と間違われますが、アメリカ生まれの会社です。
現在はクイーンズ、アストリアの地下鉄の終点Ditmars Blvd駅から徒歩20分。
クイーンズの北端に工場はあります。
周辺は完全に工場地帯。
でもその中でスタインウェイの工場は工場というよりは工房といった趣。
サイズがこじんまりしているから、というよりも、楽器作りの工房がいずれもそうであるように、高度な専門技術を持ったごく少人数のマイスターたちが、それぞれ自分の特技を最大限に発揮しながら作っている、という雰囲気がそう感じさせるのだと思います。
働いている方々の表情を見るだけで、彼らがものすごいプライドと自信を持って楽器作りに専念していることが直ちにわかります。
工場内は撮影禁止なので、写真はChris Payneさんが撮影した美しい写真を下記のウェブサイトでお楽しみください。
Chris Payne: Steinway
2時間半に渡って案内してくれたのは超ベテランのボブさん。
20年間に渡って工場ツアーのガイドを務め、ご案内したお客様は何千・何万とも。
19世紀のピアノについてなど、かなりマニアックな質問をしても即座に返事が返ってくる、ピアノマニアです。
セーフティーゴーグルを装着して、いざ工場へ!
現在は毎年2000台ほどがニューヨークの工場で、1000台ほどがハンブルク工場で製造されているそう。
1台のピアノを作るためには12000ほどの部品が必要。しかも完成までに1年かかります。
気が遠くなるほどの部品と工程が必要ですが、製造は驚くほど少人数の技術者によってなされています。
工場の中央には1868年に建てられた最初の工場部分が今も残っていて、驚くべきことに今もピアノの修復工房として稼働しています。
スチームが動力になって暖房やスプリンクラーが稼働している19世紀の工場の隣には、人間の労力を極限まで減らすために最先端の機械が導入された21世紀の工場が増築されています。
廊下を抜けるだけで19世紀と21世紀を一気に渡っているよう。
修復セクションは非常に大きく、 個性的で魅力的なピアノに溢れていました。
写真でお見せできないのが残念なほど。
最近のピアノを中古ピアノとして再び市場に出すために修復しているのだと思っていたのですが、19世紀の古いピアノがたくさん置いてあることに驚きました。
そこはまるでピアノの美術館。
鮮やかな絵画が描かれたピアノ、パルテルカラーのピアノ。人の手によって丁寧に掘られた細工を持つピアノ。どれもため息が出るほど美しいです。
どの工程も見ていて飽きない面白さがありましたが、圧倒的に印象深かったのは、グランドピアノのあの美しい曲線を描く、リムを作る過程。
ピアノが描く滑らかなカーブ。今ではどのグランドピアノも持っていますが、あの曲線美は実はスタインウェイが最初に創ったそう。
このリムを作る過程。特に薄い板を張り合わせた一枚の合板を、一気にあの曲線に仕上げてしまう工程は見とれてしまいます。
5人の技術者が薄い板に接着剤を塗って貼り合わせていきます。ピアノの大きさにより異なりますが、薄い板は15枚から19枚を張り合わせ、さらに糊付けされたリムをグランドピアノの形に成型します。
これは接着剤が乾くまでの20分以内に行わなければならない、という時間との勝負。見ている方がハラハラします。
カーブを描く部分は入念に接着剤をつけたり、成型部分では5人の阿吽の呼吸が必要だったり、と様々な部分で緊張が走ります。(基本的に技術者の方々は無言で作業なさっています。)
そのほか、一人の人間が1分でグランドピアノをひっくり返せる機械など、「おおっ」と驚くような機械もたくさんあり、良いものを見せていただきました。
コンサートホールでのステマネ時代、日々ピアノを移動させる中で、台車に乗せてですらフルコンサートピアノを動かすのは一人では無理でした。それを簡単にひっくり返せる機械があるなんてびっくり。
ブリッジを彫っていく作業も息を飲むほど美しいです。
おみやげにハンマーを頂きました。
アストリアのスタインウェイ ピアノ工場見学は毎週火曜日の9:30〜12:00。
事前予約が必要です。
人気が高いので、ご予約はくれぐれもお早めに。
ピアノの仕組みに興味のある 方、楽器作りに興味のある方はぜひ。
いつもクラシック音楽の楽しみ方を紹介していますが、こうした工場ツアーも、クラシック音楽が好きになるきっかけになるのではないでしょうか。
昨年の今頃、アストリアにあるスタインウェイピアノの工場見学に申し込もうとしたらその年の12月まですべて予約済み!という衝撃の競争率に驚愕したのですが、ウェイティングリストに登録しておいたら忘れた頃に連絡をいただき...
ようやく1年後に見学することができました!
でも条件は一人のみ... と。
なお、実は裏技もあって、スタインウェイのお店で、ピアノ教師としての登録をしておくと、この正規の方法で応募しなくても、別の時期にピアノの購買意欲のある生徒さんを連れて見学をすることができます。
ピアノ教師の方はぜひこの方法を!
スタインウェイ&サンズ社は、1853年にドイツから移住したヘンリー・エンゲルハート・スタインウェイによって、マンハッタンのヴァリック通りに創立されたピアノ会社。
その後の30年間で、ヘンリーとその息子たち、C.F.セオドア、チャ―ルス、ヘンリー・ジュニア、ウィリアム、そしてアルバートが、近代ピアノ製造における基礎を築き上げます。
ハンブルクに工場があるので、よくドイツの会社と間違われますが、アメリカ生まれの会社です。
現在はクイーンズ、アストリアの地下鉄の終点Ditmars Blvd駅から徒歩20分。
クイーンズの北端に工場はあります。
周辺は完全に工場地帯。
でもその中でスタインウェイの工場は工場というよりは工房といった趣。
サイズがこじんまりしているから、というよりも、楽器作りの工房がいずれもそうであるように、高度な専門技術を持ったごく少人数のマイスターたちが、それぞれ自分の特技を最大限に発揮しながら作っている、という雰囲気がそう感じさせるのだと思います。
働いている方々の表情を見るだけで、彼らがものすごいプライドと自信を持って楽器作りに専念していることが直ちにわかります。
工場内は撮影禁止なので、写真はChris Payneさんが撮影した美しい写真を下記のウェブサイトでお楽しみください。
Chris Payne: Steinway
Photo from: Chris Payne website |
2時間半に渡って案内してくれたのは超ベテランのボブさん。
20年間に渡って工場ツアーのガイドを務め、ご案内したお客様は何千・何万とも。
19世紀のピアノについてなど、かなりマニアックな質問をしても即座に返事が返ってくる、ピアノマニアです。
セーフティーゴーグルを装着して、いざ工場へ!
現在は毎年2000台ほどがニューヨークの工場で、1000台ほどがハンブルク工場で製造されているそう。
1台のピアノを作るためには12000ほどの部品が必要。しかも完成までに1年かかります。
気が遠くなるほどの部品と工程が必要ですが、製造は驚くほど少人数の技術者によってなされています。
工場の中央には1868年に建てられた最初の工場部分が今も残っていて、驚くべきことに今もピアノの修復工房として稼働しています。
スチームが動力になって暖房やスプリンクラーが稼働している19世紀の工場の隣には、人間の労力を極限まで減らすために最先端の機械が導入された21世紀の工場が増築されています。
廊下を抜けるだけで19世紀と21世紀を一気に渡っているよう。
修復セクションは非常に大きく、 個性的で魅力的なピアノに溢れていました。
写真でお見せできないのが残念なほど。
最近のピアノを中古ピアノとして再び市場に出すために修復しているのだと思っていたのですが、19世紀の古いピアノがたくさん置いてあることに驚きました。
そこはまるでピアノの美術館。
鮮やかな絵画が描かれたピアノ、パルテルカラーのピアノ。人の手によって丁寧に掘られた細工を持つピアノ。どれもため息が出るほど美しいです。
どの工程も見ていて飽きない面白さがありましたが、圧倒的に印象深かったのは、グランドピアノのあの美しい曲線を描く、リムを作る過程。
ピアノが描く滑らかなカーブ。今ではどのグランドピアノも持っていますが、あの曲線美は実はスタインウェイが最初に創ったそう。
このリムを作る過程。特に薄い板を張り合わせた一枚の合板を、一気にあの曲線に仕上げてしまう工程は見とれてしまいます。
5人の技術者が薄い板に接着剤を塗って貼り合わせていきます。ピアノの大きさにより異なりますが、薄い板は15枚から19枚を張り合わせ、さらに糊付けされたリムをグランドピアノの形に成型します。
これは接着剤が乾くまでの20分以内に行わなければならない、という時間との勝負。見ている方がハラハラします。
カーブを描く部分は入念に接着剤をつけたり、成型部分では5人の阿吽の呼吸が必要だったり、と様々な部分で緊張が走ります。(基本的に技術者の方々は無言で作業なさっています。)
そのほか、一人の人間が1分でグランドピアノをひっくり返せる機械など、「おおっ」と驚くような機械もたくさんあり、良いものを見せていただきました。
コンサートホールでのステマネ時代、日々ピアノを移動させる中で、台車に乗せてですらフルコンサートピアノを動かすのは一人では無理でした。それを簡単にひっくり返せる機械があるなんてびっくり。
ブリッジを彫っていく作業も息を飲むほど美しいです。
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おみやげにハンマーを頂きました。
アストリアのスタインウェイ ピアノ工場見学は毎週火曜日の9:30〜12:00。
事前予約が必要です。
人気が高いので、ご予約はくれぐれもお早めに。
ピアノの仕組みに興味のある 方、楽器作りに興味のある方はぜひ。
いつもクラシック音楽の楽しみ方を紹介していますが、こうした工場ツアーも、クラシック音楽が好きになるきっかけになるのではないでしょうか。
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