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2016年8月29日月曜日

カタコンベで現代音楽!メシアン作曲《アーメンの幻影》


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こんにちは、MUCHOJIです。
初めて当ブログをご訪問の方は、「はじめに」をお読みください。
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カタコンベで現代音楽!

8月25日  Christina & Michelle Naughton
メシアン:2台のピアノのための作品《アーメンの幻影》  
@Crypt Chapel of The Church of the Intercession

「クラシックコンサート予習講座〜現代音楽の楽しみ方」に
お越しいただいた方、 ありがとうございました!

予習講座でメシアンとその作品の特徴について
30分ほどお勉強したあと、コンサート会場へ。

アッパーマンハッタン、West 155th Streetの高台の上の
広くて美しい墓地の傍にある Crypt Chapel of The Church of the Intercession



このコンサートシリーズ、ワインとチーズ、フルーツ、スナックなどを手に
おしゃべりを楽しんだ後で、コンサートを聴くスタイル。
ワインとチーズも教会の中庭の回廊でいただきます。
暗くてすでに雰囲気たっぷり。 



ニューヨークでも日本と同じようにクラシック音楽のコンサートでは、
シニアのお客様が中心ですが、The Crypt Sessionsのシリーズは
お客さんのほとんどが、普段はSoHo, NoLItaで見かけるような
20〜30代のお洒落な若い方々。

演奏される曲目は、宗教曲であったり、現代曲であったり、と
決して聴きやすい音楽ではないのに、これだけ若いお客さんが集まるのは、
やはりこの場の特別感でしょうか。リピーターも多いです。 

さて、ずらりと並ぶお墓の脇を通って、
いよいよ地下のカタコンベに移動します。

今日のピアノの配置はこんな感じ。



天井を外したピアノが、両脇の客席に挟まれるように中央に。
地下であることに加え、当日は夕方に夕立がありました。
湿気がすごくて調律師さんの苦労が忍ばれます… 
そもそもピアノを運び入れるのには地上からの急な階段しかない...!

プログラムノートも麻の紐で結ばれた巻き物になっていて、凝っています。 

本日の曲目は、メシアン作曲《アーメンの幻影》。
2台ピアノのための作品です。

作曲者のオリヴィエ・メシアンは、20世紀、フランスの作曲家。
フランス、アヴィニヨン生まれで、
父ピエールはシェイクスピアの全作品を仏訳した英語教師、
母セシル・ソーヴァージュは女流詩人と、芸術家気質の家に育ちます。

こどもの頃にクリスマスプレンゼントで、
ドビュッシーのオペラ《ペレアスとメリザンド》を贈られて
それをぼろぼろになるまで勉強したことは、
彼の作曲家としての人生を決めるきっかけになったと言われています。

《アーメンの幻影》は、ドイツ軍の占領下の真っ只中、
1943年のパリで初演された作品。
1941〜42年のドイツのゲルリッツでの捕虜生活から解放されてから
初めて書いた作品です。

ちなみに捕虜生活の中で書き上げたのが、
あの有名な《世の(時の)終わりのための四重奏曲》。

2台ピアノの作品ですが、2人のピアニストの掛け合いが
まるでお互いに挑みかかるように激しく、圧倒的な流れの音楽。 

第1ピアノは、彼の2番目の奥さんでピアニストのイヴォンヌ・ロリオが、
第2ピアノはメシアン自身の演奏で初演されました。 

曲は7楽章構成。 メシアンは情熱的・献身的なローマカトリック教徒。
彼の作品は全てその信仰と関連しています。

パリ高等音楽院を卒業してから、60年以上、
パリのサントリニティー教会でオルガニストを務めたことに
深い喜びを感じていたそう。

1 創造のアーメン
   /  "Amen de la création" 
2 星たちと環のある惑星のアーメン
   /  "Amen des étoiles, de la planète à l'anneau" 
3 イエスの苦しみのアーメン
   /  "Amen de l'agonie de Jésus" 
4 願望のアーメン
   /  "Amen du désir" 
5 天使たち、聖人たち、鳥たちの歌のアーメン
   /  "Amen des anges, des saints, du chant des oiseaux" 
6 審判のアーメン
   /  "Amen du jugement" 
7 成就のアーメン
   /  "Amen de la consommation"  


それぞれの楽章のストーリーが、
絵のように音に描写されている曲なのですが、
カタコンベの薄暗い空間の中で聴くといっそうその世界に惹き込まれます。



1. 創造のアーメン
[「創造の主題」が暗黒の深淵から、着実に厳粛に聖歌のように生起する。光が徐々に差し込んで広がっていき、鐘の音のような和音がクレッシェンドしながら鳴り響き、光の中で輝いている。] 

低音のくぐもった響きの中から、徐々に中・高音が現れて、
暗い闇の中に光が差してきます。

ぼんやりとした音が渦巻く暗い世界から徐々に音楽が明確になっていく様が、
何かが徐々に姿を現していくようで、まさに「創造」の音楽。


2. 星たちと環のある惑星のアーメン
[止まることない宇宙の回転、猛烈なエネルギ-のダンス。複数の環を持つ土星、他の惑星、止まることなく回転している星星が、全て創造主に対して賛同のアーメンを叫んでいる。]

一般的に私たちがイメージする、キラキラ輝く「星」のイメージとは
随分異なります。

シャープで重量感のあるモティーフが執拗に繰り返され、
むしろ宇宙の中で、巨大なエネルギーをもつ星たちが、
爆発を繰り返しながら回転を続けていく様を現したような音楽。

ゴツゴツした厳つい低音の響きに対して、
雪の結晶のように輝く音が散りばめられた高音が対照的。

モティーフの対位法的な展開が宇宙の「秩序」のようなものを
形作っているように聴こえます。


3. イエスの苦しみのアーメン
苦痛に満ちた突き刺さるような旋律と不協和な響きが
イエスの苦しみを表しています。

イエスの血と汗のしたたり、と言われるバスの単音の響きは
寒気がするほど。

そして終盤の突然の沈黙。会場が恐ろしいほどに静まり返ります。


4. 願望のアーメン
[神に捧げた愛が、魂から湧き起こるアーメンを喚起する。神との結合への欲望。調和的なパラダイスの深い優しさと静けさ、栄光に満ちた成就への激しく情熱的な人間の願望]

うっとりと夢の中でまどろんでいるような部分と、
2人のピアニストがお互いに挑みかかるように前のめりになって奏する
激しい部分とが対照的。


5. 天使たち、聖人たち、鳥たちの歌のアーメン
[透きとおるように、力むことなく、ピュアな歌によって、神への賞賛のアーメンを天使と聖人が唱える。ナイチンゲール、ブラックバードなど、鳥たちの愉悦的な歌声のコーラス] 

ユニゾンで聖歌を思わせるメロディーが歌われたあとに、
「創造の主題」が奏でられます。

ナイチンゲールのさえずり、ブラックバードのはばたき、などが
色彩豊かに聴こえて、とても描写的な音楽。

鳥の専門家でもあり、77種類もの鳥が登場する《鳥のカタログ》を
作曲したメシアンの得意とする作曲法の一つを感じられる楽章です。


 6. 審判のアーメン
[最も短い楽章。"Let it beは審判の形になる。神の愛を拒否したものに対するこの判決の厳しさは、リズミカルな厳格さ、透明性と全体的な明晰さをもって演奏される]

重苦しく、法廷で打ち鳴らされる槌のような無慈悲な響きの
和音の繰り返しに、戦慄を覚えます。

判決の峻厳さを表した音楽。


7. 成就のアーメン
[キリストにおいて約束された世界が成就した至福の時。神の最後の"Let it be"。「創造の主題」に回帰して、子供のような歓喜の波が次か次へと変形していく]

生気と輝きに満ちた「創造の主題」が繰り返し奏されますが、
ここでは、面食らってしまうほどに、調性的。

これまでの楽章に現れてきた、不協和な響き、厳つい和音、
断続的でシャープな旋律、と打って変って
調性的にメロディアスに演奏することは、
歓喜の歌を表すのにとても効果的だと思いますが、
あまりにも喜びに満ちていて、裏読みしたくなるほど。 

講座に参加してくださった方が、
「最後の調性的なところはとても明解でしたが、
実は、神の世界ってそんなに単純ではないかも…」
とおっしゃっていたのが印象的でした。

その明るさの裏には何かあるかも… なるほど、
そういう解釈もあるかもしれません。

こうしてお互いの気づいた点を話したり共有できるのが、
講座を開いたり何人かで一緒の音楽を聴きにいく醍醐味だと思います。

会場の雰囲気と相まって、まさしく、日本では絶対味わえない経験。
2台のピアノの上を極彩色の音が飛び跳ねているようで、
でも、その中に、近寄りがたい怖さ、超越的な存在を感じさせるものがありました。



ユニークな空間と、素晴らしい音響、雰囲気たっぷりの音楽。
隠れ家的な場所で、ニューヨークならではの体験をしたい方には
おすすめのコンサートシリーズです。




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2016年8月25日 
 Christina & Michelle Naughton 
@Crypt Chapel of The Church of the Intercession 

メシアン:2台のピアノのための作品《アーメンの幻影》  



● Link
  The Crypt Sessions: Christina & Michelle Naughton

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2016年3月14日月曜日

革命的!? に斬新な音楽ホールで スプリング・レボリューション!


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2016年3月9日
スプリング・レボリューション! byアンダーソン&ロエ ピアノデュオ

アンダーソン&ロエ ピアノデュオを聴きにブルックリンのウィリアムズバーグへ。
アンダーソン&ロエ といえば、Youtubeで噂を呼び再生回数100万回超。
アメリカのクラシックチャートで12週連続トップの 快挙をなしたピアノデュオ。

その演奏は、 「酔っ払ったモーツァルト」「セクシーすぎるカルメン」 
なんて呼ばれていたりもします。
演奏だけでなく、舞台上で行われるすべてをエンターテイメントに仕立て上げる
ピアノデュオです。

たとえばこんな感じ。

セクシーすぎるカルメン・ファンタジー
Carmen Fantasy for Two Pianos (ANDERSON & ROE)



禁欲と誘惑… ピアソラのリベルタンゴ
Anderson & Roe Piano Duo play "LIBERTANGO" (Piazzolla)



今日は「スプリング・レボリューション」と名付けられた春がテーマのコンサート。
とはいっても一般に「春」と聞いてイメージする暖かで華やかなプログラムのような、
そんな生易しいものではなく、ストラヴィンスキーの「春の祭典」とか、
ピアソラの「春」など、刺激的で聴く方もどっぷり春の魔力に浸かっちゃうような
曲目がずらり。 

RITE OF SPRING 100 Trailer - Anderson & Roe Piano Duo
(ちょっと気持ち悪い表現があるので、虫が苦手な方は2つめのビデオをどうぞ)



Anderson & Roe - THE RITE OF SPRING (1 of 10) - Introduction to Part I



実は今日のコンサート会場“ナショナル・ソーダスト National Sawdust”が
どんなところなのか、というのも興味があって、これも公演に出向いた理由のひとつ。
ナショナル・ソーダストは、ブルックリンのウィリアムズバーグに2015年9月に
オープンした音楽ホール。

作曲家のパオラ・プレスティーニに率いられ、
有名アーティストたちのコミュニティによってキュレートされた
ナショナル・ソーダストは、ミュージシャンたちが実験と探求を行う場となっていて、
かなりコアなファンから初心者まで、ジャンルを問わずにお手軽に価格で音楽を
楽しめる場となっています。

元々は1世紀の歴史を持つ工場だった場所は、レンガシェルの造りを残しながら、
かなり柔軟で最先端の音楽ホールとなっています。

バーもあってアルコールを楽しみながら演奏を聴くこともできるので、
ライブハウスのようでもあります。 

まず会場についてみて、おお!と思ったのは、これまでのコンサートホールや
ライブハウスのイメージの「ブラック」ではなく、「ホワイト」という斬新なホール。
ホール内装が四角ではなく、アシンメトリーな多角形でできているのも特徴。


かっこいい!


ブルックリンのウィリアムズバーグの中でも、Bedford Avenue周辺は特におしゃれな
地域ですが、これは抜きん出ています。
ちなみに外観はこんな感じ。内装とのギャップがまたいいです。


収容人数は1階が約60人。バルコニーも入れると約80人といったところでしょうか。
いった当日は客席の間隔にかなり余裕をもたせてあったのですが、
頑張れば100〜120人くらいは入りそう。

壁の細長い照明は消えているときはニューヨークのバスのドアについている
開閉ボタンにそっくりな黄色ですけど…

あと、職業柄?舞台の構造などにいつも目が言ってしまうのですが、
一番面白いと思ったのは、舞台上の壁に電源などの端子があること。
普通は舞台のフロアポケットのように、舞台上にポケットがあってその下に隠されていることが多い、もしくは壁に隠されていることが多いのですが、
このように思いっきり見せる端子ってクラシックの音楽ホールとして使われる場としては
とっても斬新!

暗くて見えづらいけど、端子が壁面にむきだし。

さて、アンダーソン&ロエの演奏ですが、彼らは単なるピアニストではなくて
アクター&アクトレス。終始エンターテイナーに徹しているところがすごい。 


そして、そのアクティングを支えていたのが照明。
この日最初に演奏されたのは、ストラヴィンスキーの「春の祭典」ですが、
まず暗転から、かすかな灯りの中で静かにテーマが流れていたところで、
音楽の流れが急激に変化するタイミングで突如舞台が真っ白に。

春の祭典の個々の楽章に合わせて様々な色の照明が当てられていましたが、
その切り替えのタイミングは音楽の流れが劇的に変わる部分に合わせていたので
結構シビアでした。

照明さんがスコアが読める人であることは少ないので、通常、音楽的知識のある人が
補助員として、あるいはステージマネージャーが楽譜を追いながら適切な箇所で
照明さんに指示を出しています(キュー出し)。

失敗するととんでもないことになるので、かなり緊張する役目。
正直、この「春の祭典」のような作品のキュー出しはあまり引き受けたくない…

実は日本で彼らの演奏を聴いたときは、照明演出がなかったので、
私を含め、Youtubeを見すぎた人は「アレ?」と思ったと思うんです。
でも、こうして照明アリだとエンタメ性がぐっと増して、
彼らの表現したい世界観が伝わってきました。改めて照明の効果ってすごい。

ちなみにアンダーソン&ロエは、楽譜はiPadに投影されたものを使用していて、
Bluetoothの足ペダルで譜めくりをします。足ペダルはこういうの。
(ピアノのペダルの左にある黒い物体)



これは、譜めくリスト(譜めくりさん)を用意しなくていいという利点のためだけでなく
たぶん彼らは、内部奏法(鍵盤ではなくピアノの弦を直接はじくなどして音を出すこと)
を結構な頻度で行うから、というのもあると思います。

譜面台や紙の譜面は内部奏法をするときに邪魔ですから。

アンコールはバーンスタインの「マンボ」。
「この曲にはお客さんの協力が必要なんですよ」という前置きをMCでしておいて、
「マンボ!」の掛け声をいれなきゃいけない箇所をお客さんとリハーサルしてから
スタート。

お客さんも掛け声を入れるタイミングを逃すまいとドキドキしながら聴くという
アンコールでした。

演奏のみならず、アイコンタクト、ちょっとした仕草、MC、 といった舞台上で行われるすべてを まるごとエンターテイメントに仕上げるプロ意識に脱帽。

そしてこのナショナル・ソーダストという音楽ホール。
収容人数とチケット価格からして絶対採算が取れないはずなのに、
質の高い演奏に安いチケット価格...
ドネーションなどで賄っているのでしょうか。

アーティストによるキュレーションなので、
個性的であれば若くても出演機会が得られる点でアーティストにとっても嬉しい。

ニューヨークにいるからこそ、アーティストも聴衆も得をしていることって
たくさんあるんだろうな、と改めて思いました。

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2016年3月9日 @National Sawdust
アンダーソン&ロエ ピアノデュオ

ストラヴィンスキー:春の祭典
グルック:オルフェウスとエウリディーチェより
ピアソラ:春
     オブリビオン
     リベルタンゴ



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2016年2月14日日曜日

特急さえもが公演のため臨時停車する ザイラーピアノデュオ かやぶきコンサート


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ザイラーピアノデュオ 茅葺コンサート

京都駅から電車で約1時間。
味わいのある特急電車「はしだて」で
コンサート会場の最寄り駅である胡麻駅を目指します。

このコンサートがなによりもすごいところは、
なんと、このコンサートだけのために、
普段は各駅停車の列車しか停まらない駅に、
JR特急さえもが臨時停車すること!



さて、ここでどんなコンサートが行われているかというと、
エルンスト・ザイラーさん、カズコ・ザイラーさんという夫妻による
ザイラーピアノデュオのコンサート。

このコンサートは「かやぶきコンサート」と呼ばれているのですが、
それは、その建物が茅葺屋根の音楽堂だから。

ザイラー夫妻は、1784年(天明4年)建立された福井県大飯郡の禅寺
「善応寺」の旧本堂を譲り受けて平成元年に移築再建。
こうして「かやぶき音楽堂」が生まれました。
2006年には、文化庁により国の登録有形文化財に指定されます。

このかやぶき音楽堂では、
初夏と秋のシーズンにかやぶきコンサートを定期的に行い、
全国各地、海外からもお客さんが訪れています。 

所在地「胡麻の里」はほとんど田んぼと畑と山しか見えない田舎
そのいかにものどかな風景の中にその音楽堂はあります。

田んぼの畦道や、ぽつりぽつりと見える人家の間、小さな集落の間を、
道に咲く小花や、家々の軒先に植えられた木々の実などを
愛でながら歩いていきます。



ダイナミックな植物たち。


小高い山の中腹に茅葺屋根の音楽堂が見えてきました。

約250人の収容が可能な場所で、
温かみのある空間の中、座布団に座って聴くコンサートです。

今日の2階席からの眺め (^_^*) 
天井桟敷の人になったみたい。


休憩中には、夫人が焼いてくださったケーキと、
庭のハーブで作られたハーブティーが振舞われます。
ホッとするやさしい味。 

会場に生けられたお花も見事。




職業柄、ピアノの保管の仕方や反響板が 気になって見てしまいます。
建物のすぐ裏手は山で側面は田んぼ、 ということで湿気はかなり高く、
ピアノのカバーは演奏直前まで掛けられていて
中で除湿機がフル稼動しています。


演奏後もピアノはすぐに覆われてしまいます。
管理の苦労が忍ばれます。

ここの反響板は現代作家による芸術作品です。
茅葺屋根なので通常の家よりは天井が高いのですが、
天井に、前後で合計10枚の反響板が吊り下げられ、
音が客席側に飛ぶように設計されています。


和風の家にメタル感のある反響板!? と思うかもしれませんが、
つや消しの効果で、意外にもしっくり合っています。 

演奏はすべて4手連弾。
夫妻のなごやかムードなお話を挟みながら進みます。

終演後には、夫妻が自ら田んぼで稲作を行ったお米による
おにぎりが振舞われました。
シンプルな塩握りですが、お米の味が引き立って、美味。
毎年5000人〜6000人の人がかやぶきコンサートを訪れ、
一人ひとつのおにぎりをいただくわけですから、
相当な量のお米を育てているはず。感謝。
お米の販売も行われています。 

自然をこよなく愛し、胡麻の里で稲作りもする夫妻。
和やかな雰囲気の演奏だけでなく、
そのライフスタイルも共感を呼び、
全国からお客さんがこの辺鄙な場所を訪れ、 音楽を楽しむ… 
しかもリピーター率もとても高い。 

芸術を楽しむ時、人は演奏だけを楽しむわけではない。
その演奏家の人柄、ライフスタイル、会場までの道のり、会場の雰囲気、
そうした演奏にまつわるすべてをトータルで楽しむものなのだ
ということを改めて実感できるコンサートです。

ちなみにかやぶきコンサートに行く場合は、
電車にはくれぐれも乗り遅れないように。
次の電車は1時間後です... なんてのはザラです。


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2015年9月26日     @かやぶき音楽堂(京都)
ザイラーピアノデュオ 
ピアノ:エルンスト・ザイラー/カズコ・ザイラー 


● Link
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 Youtubeで噂を呼び再生回数100万回超 アンダーソン&ロエ ピアノデュオ




2016年2月8日月曜日

Youtubeで噂を呼び再生回数100万回超 アンダーソン&ロエ ピアノデュオAnderson & Roe Piano Duo


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アンダーソン&ロエ ピアノデュオ。
Youtubeで噂を呼び再生回数100万回超。
アメリカのクラシックチャートで12週連続トップの
快挙をなしたピアノデュオ。

彼らのことを最初に知ったのは、
「エロイと評判のモーツァルトがあるよ!」
という噂を耳にしたとき。
それがこちら

ジュリアード音楽院出身のグレッグ・アンダーソンと
エリザベス・ジョイ・ロエという
二人の若いピアニストによるデュオ。

クラシック音楽の新たなエネルギーを引き出すべく
独自スタイルを追求し続け、その革新的アプローチで
世界中から注目を集めています。

オリジナルビデオはYouTubeで瞬く間に100万アクセスを
超え、エミー賞にノミネートされるという
センセーションを巻き起こしました。
音楽祭やテレビ出演のオファーが殺到中。

得意とするのは、斬新な独自アレンジと手指絡みあう連弾の妙技。
そしてピアノが生きているかのような野性的でダイナミックな2台ピアノ。

アンダーソン&ロエ ピアノデュオの演奏は、
「酔っ払ったモーツァルト」「セクシーすぎるカルメン」
なんて表現されることもしばしばですが、
決してポップ一色ではなく、
演奏はとてもオーセンティックでもあります。

クラシック音楽初心者からコンサートゴーアーまで
幅広く楽しめるプログラムと演奏。

アンダーソン&ロエ ピアノデュオによる
アイデア満載のビデオの一部を紹介。

●セクシーすぎるカルメン・ファンタジー

●禁欲と誘惑… ピアソラのリベルタンゴ

●恋人に贈りたい… ヴィヴァルディの「私の心に涙の雨が降る」

2014年9月に初来日。
彼らの生演奏を初めて聴いたときの衝撃はかなりのものでした。
これは「コンサート」なのか?「ショー」なのか?
と思わず問いたくなる公演。


ちなみに最近の若手演奏家らしく、紙の楽譜ではなく、

iPadに保存された楽譜を使用。自分で足元のBluetoothペダルで画面をめくるので、

人間による譜めくりいらず。


2台ピアノのときに2人の譜めくりを手配するのに苦労する

ホールにとっては、彼らのようなスタイルはとても助かります。

さて、演奏だけなら他にも優れたピアノデュオはいくつもありますが、
アンダーソン&ロエ ピアノデュオは、
演奏のみならず、アイコンタクト、ちょっとした仕草、MC、
といった舞台上で行われるすべてを
まるごとエンターテイメントに仕上げる所が凄い。

Youtube で彼らの演奏ビデオを見るのもよし。
でも、彼らが舞台上で作り出すエンターテイメントを
まるごと体験できるのは生演奏ならでは。
from Anderson & Roe Piano Duo website


ちなみに、下世話な話ですが、Youtubeビデオや演奏を観た人は必ず
アンダーソンとロエはカップルだよね。実際どうなの? 
と思うそうですが…
たしかに非常に親密な雰囲気で、いかにも、という感じ。
(実際に夫婦や恋人同士がデュオを組むことは多い)
ですが、実際は違うらしい(こっそり本人談)。
聴衆に疑いの念を抱かせないほど
すべて計算されたパフォーマンスとは、


2016年2月2日火曜日

4つの手が舞う!20本の指が踊る! フィテンコ&ザイツェヴァ ピアノ・デュオ


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2013年7月6日
フィテンコ&ザイツェヴァ ピアノ・デュオ

ニキータ・フィテンコさんと
カトリーナ・ザイツェヴァさんのピアノ・デュオコンサート
ロシア出身の夫妻によるデュオで、
前半は4手連弾。後半は2台ピアノ。

シューベルトの「幻想曲 ヘ短調」は、
2人の対話どころか眼を閉じると
一人で弾いているかのようなまろやかな調和した響き。
それはシューベルトの物悲しい旋律が
甘く聴こえるほどの親密さ。

「愛を歌うと哀しみになり、悲しみを歌うと愛になった」
と自嘲していたシューベルト。
なんとも言えない痛切なメロディーが心を打ちます。

そして存命の作曲家ローゼンブラットの
「2つのロシアの主題による小協奏曲」も印象的な曲。

1956年に生まれたローゼンブラットは
戦後世代のソビエト、ロシアの作曲家のなかでも
一風変わった作風を持ち味としています。

クラシックに留まらない映画音楽、ポップス、ジャズといった
様々なジャンルの音楽に長けていたローゼンプラット。
彼の音楽はエンターテイメントに満ちています。

ロシアの2つの主題による小協奏曲」は、
赤軍合唱団や「うたごえ喫茶」で日本でもおなじみの
「カリンカ」と「モスクワ郊外の夕べ」の2つの主題を用いています。
誰もが知る大衆的な2つの主題が
パロディーっぽくなりすぎず
センス良くジャズやポップスのエッセンスで
味付けされた曲。

この曲は別名「二人羽織」とも呼ばれています。
これはCDでは絶対にわからない生演奏ならではのお楽しみなのです。
ひとりが内声を、もうひとりは外声を弾くので、
この名がついています。

出た!

宗次ホール・オフィシャル・ブログより

一方、2台ピアノの後半は、連弾の前半と一変して
二人の個性がより強く感じられてときに衝突。

「私はこう弾くからあなたがついてきなさいよ。」
「君がそう弾くなら僕はこうするよ。」
という2人の奏者の声が聞こえてきそう。

コンサートのメインはラフマニノフ作曲「交響的舞曲」
ロシア革命、そしてソビエト政権樹立を受けて
アメリカに亡命したラフマニノフは、
作曲者としてよりもピアニストとして
アメリカの人々に迎えられました。

超絶技巧ピアニストとして人気を博したラフマニノフは、
アメリカではほとんど作曲を行いませんでした。
もちろんそれは演奏活動で多忙だったことが挙げられますが、
愛する祖国に永遠に戻れないという喪失感が
彼の創作意欲を失わせたといっても過言ではないでしょう。

その中で、1940年、世を去る3年前に、生まれた交響的舞曲。
これこそがラフマニノフの最期の作品となりました。

よくあるオーケストラの2台ピアノ編曲版ではなく、
この作品は先に2台ピアノ版が完成され、
その後でオーケストラ版に編曲されています。
2台ピアノによる初演はラフマニノフと
20世紀の大巨匠ウラディミール・ホロヴィッツによるものだったそう。
一体どんな演奏だったのかとても気になりますが、
残念ながら録音は残っていないようです。

曲の最後に登場する、ラフマニノフが頻繁に引用した
グレゴリオ聖歌の“怒りの日”のメロディー
(ファ・ミ・ファ・レ・ミ・ド・レ)は執拗なほど繰り返され、
ドラマティックにこの曲を締めくくります。

2台ピアノで演奏される「交響的舞曲」は、
音の波が押し寄せてくるようで、圧巻。





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2013年7月6日 @宗次ホール
フィテンコ&ザイツェヴァ ピアノデュオ

ピアノ:ニキータ・フィテンコ
ピアノ:カトリーナ・ザイツェヴァ

[第1部:4手連弾]
シューベルト:幻想曲 へ短調 作品103, D940
ラフマニノフ:ピアノ連弾のための6つの小品 作品11より
 「舟歌」 「スラーヴァ(栄光)」
ローゼンブラット:ロシアの2つの主題による小協奏曲
[第2部:2台ピアノ]
ショスタコーヴィチ:2台のピアノのための小協奏曲 イ短調 作品94
ラフマニノフ:交響的舞曲 作品45a(作曲者自身による2台ピアノ版)

【Soka University のコンサートホールがすごい!】

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