2018年4月27日金曜日

【サンフランシスコで室内楽】ヴァン・カイック弦楽四重奏団


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こんにちは、MUCHOJIです。
初めて当ブログをご訪問の方は、
はじめに」をお読みください。
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2018年4月15日
ヴァン・カイック弦楽四重奏団
@サンフランシスコ州立大学
McKenna Theater, San Francisco State University


ブログを大変ご無沙汰して
しまいました。
その間に、
ニューヨークからロサンゼルスへ、
さらにサンフランシスコに
引っ越していました。 

ニューヨークでもロサンゼルスでも
まだ書ききれていない印象深いコンサートが
たくさんあるのですが、
今日はサンフランシスコのコンサートを
紹介したいと思います。



週末にサンフランシスコ州立大学の室内楽ホールで、
弦楽四重奏を聴いてきました。


当日の演奏は、フランスの弦楽四重奏団
ヴァン・カイック弦楽四重奏団。

2015年に
ウィグモアホール国際弦楽四重奏コンクールで優勝。
目覚ましい活躍を見せる弦楽四重奏団のひとつ。
サンフランシスコでの今回の演奏は、
彼らにとって西海岸初の演奏会です。






曲目は、

メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第4番
 ホ短調 作品44-2
西村 朗:弦楽四重奏曲 第2番「光の波」
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト長調 作品10 



ヴァン・カイックQの演奏は、
2014年の大阪国際室内楽コンクールで
聴いたことがあります。
チェロはその後新しいメンバーに交代したようです。
4年越しの再会にワクワクです。

2014年のコンクールの際は、
西村先生の同作品が課題曲に含まれていました。
本選では同じ曲を1日に6回くらい聴いた気がします。
朝から晩まで若手弦楽四重奏団たちの真剣勝負に
聴き入る…とても贅沢な時間でした。

音の振動がしびれのように伝わる冒頭を聴いた瞬間、
コンクールのときのものすごい緊張感が鮮やかに
蘇ってきました。





現代曲が苦手な方には、
現代曲を1日に何回も聴くというのは
苦行のように聞こえるかもしれませんが、
現代曲すべてが聴きにくいわけではありません。

まず、西村先生のこの作品は、
海外で受けいれられやすい特徴、
キャッチーな要素を多く備えていると思います。

難易度の高いあらゆる技術が
散りばめられているので、
コンクールの課題曲にもふさわしく、
かつ、聴き手もその独特の世界に
引き込まれる曲です。 

箏や三味線を彷彿とさせる和の音色や、
時代劇のワンシーンかと思うような効果音などが、
たくさん含まれていて、
想像力を掻き立てられる作品です。



こうした作品はCDやストリーミングで
聴くのではなく、
会場で見てこそ
楽しめる曲だと思います。

というのは、パートの受け渡しや、
個々のパートがそろって全体をつくる過程が
目に見てわかるためです。



特にそれがよくわかるのが、
この曲に使われている 「ホケット」という奏法。 
バリ島のケチャにヒントを得たそうです。

「ホケット」というのは、
ガムランに見られるように、
複数の演奏者がお互いに他の奏者を補うような形で
ひとつまたは複数の、リズムやメロディーラインを
編み出す奏法です。

この作品では、隅々まで計算された音楽の中に、
ときどき武満 徹やバルトークを
思い起こさせるフレーズも
ひょっこり顔をのぞかせます。


ヴァン・カイックQの演奏は、
落ち着いた余裕があって、
当然、4年前の演奏とは違うものでした。 

コンクールの手に汗握る雰囲気も好きでしたが、
同じ弦楽四重奏団による、
好きな音楽をお客様とシェアしたい、
という今日の雰囲気もとても心地よかったです。



同じアーティストさんの演奏を
何度も聴く機会は
意外に思いがけないところで
やってくることがあります。
なつかしい思い出とともに蘇る演奏。
聴き比べの醍醐味だと思います。

会場のお客様は、パリを拠点に活躍する
弦楽四重奏団による
ドビュッシーの弦楽四重奏の演奏が
ひときわ気にいったようです。
こじんまりとした、
あたたかい雰囲気の会場でした。
 




サンフランシスコ州立大学の
このコンサートシリーズは、
モリソン室内楽センターが主催してくださるおかげで
演奏会はすべて無料で提供されています。

過去のシリーズを見てみると、
過去にこのブログでご紹介させていただいた
ホルショフスキ・トリオも。
毎回演奏会とマスタークラスがセットで
開催されています。

日本ではこうした弦楽四重奏による
マスタークラス&演奏会は
まだまだ少ないですが
アメリカでは、弦楽四重奏団が
各地の大学に呼ばれたり
レジデントを務めることで
後進の指導や
クラシック音楽の普及に
大きく貢献しています。

弦楽四重奏団の
収入源のひとつであり、
さらにローカル・コミュニティも
その恩恵に預かっています。

サンフランシスコ州立大学は
市内の端の方にあるので
ダウンタウンと違って駐車スペースを
比較的見つけやすく助かります。
(駐車スペースの確保はSFの悩みの種)


近くで室内楽が定期的に
演奏されている場所を
早速発見できて、
サンフランシスコ音楽ライフは
幸先が良いかもしれません :)



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2018年4月15日 
@ San Francisco State University, Creative Arts Building, McKenna Theatre 
ヴァン・カイック弦楽四重奏団 
The Van Kuijk String Quartet 

メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第4番 ホ短調 作品44-2 
西村 朗:弦楽四重奏曲 第2番「光の波」 
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト長調 作品10



● Link

【Soka University のコンサートホールがすごい!】

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