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こんにちは、MUCHOJIです。
初めて当ブログをご訪問の方は、「はじめに」をお読みください。
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胸の奥から言いようのない感情が湧き出てきて、涙が止まらなくなる…
ジョルジュ・サヴァールとエスペリオンXXIが演奏する、ジョン・ダウランド作曲:涙のパヴァーヌ(1604)を聴いて、そのあまりの美しさに、ぼろぼろ涙が溢れて舞台が霞んで大変なことになってしまいました。
2月12日に開催された、古楽奏者の第一人者、ジョルディ・サヴァールと、彼のグループ、エスペリオンXXIのカーネギーホールの公演。
美しい空間が心地よい、古楽にぴったりの大きさのZankel Hallで、忘れ去られたいにしえの音楽に耳を傾ける。贅沢なひととき。
ヴェネツィアで発展した音楽が、ヨーロッパの各地に ヴェネツィアの音楽がヨーロッパへと与えた影響を100年にわたって俯瞰する素晴らしいプログラムでした。
ヴェネツィアから始まってイタリア各地、イングランド、フランスの宮廷、フランスの地方、ドイツ、そして最後にサヴァールの出身であるイベリア半島までを巡る音楽の旅。
クラシック音楽は真面目でハイソな音楽、と思っていらっしゃる方へ。
ルネサンスの音楽を聴いたら、なんて、自由で、おおらかで、洒落た音楽なんだろう、と驚かれるのではないでしょうか。
絶妙な掛け合いと間の取り方でコミカルにパーカッションが活躍する曲。
ギターがチャーミングな音色を奏でる曲。
ヴィオールが叙情的なロマンスを歌う曲…
口琴で笑いをとるアンコールまで、計算され尽くした完璧なプログラム。
さらに、コンサートの最後のサヴァールの挨拶が見事すぎて、再び涙。
要約すると、
「今日、演奏した音楽はヴェネツィアから派生して、ヨーロッパの各地に伝播した音楽です。ヴェネツィアの音楽は音楽家たちが国を越えて各地に広がっていくことで、ヨーロッパ各地の音楽に影響を与えて、素晴らしい音楽を生み出していきました。現代でも、そして今日の演奏家たちも、様々な国から来ています。音楽にとって移住は問題ではないのです(Immigration is not a problem )。 」
最後のフレーズ “Immigration is not a problem.”
D.トランプ反対派の多いニューヨークでこんなことをおっしゃるものだから…
会場が賛同の歓声に湧き、地響きのように聴こえました。
悦びをもたらすだけが音楽ではない。音楽だからできる人類への貢献もあるはず。
と語るサヴァールが目指す、音楽を通した人類への貢献は可能に違いないと確信させられるような見事なスピーチでした。
最後に蛇足ですが、私がいつもしている古楽のコンサートの開演前の楽しみ方を紹介します。
私はだいたい開演の20分くらい前に到着するようにしています。その理由は、
【 楽器を見る】
古楽の楽器は木や動物の皮、内臓、毛などでできたものが多いので、急激な温度や湿度の変化に敏感です。
そのため、コンサートが始まる前から、舞台上に楽器が置いてあることが多いです。
聴き手にとってはじっくり楽器を見るチャンス。
ぜひコンサート前に舞台の近くで観察してみてください。
現代の楽器と異なる点がさまざま。
ヴィオラ・ダ・ガンバのネックの先に艶やかな女性の顔の彫り物があったり、側面に細かい幾何学紋様や植物の装飾があったり、ドラムの皮に紋様が描かれていたり…
一点一点装飾などが異なる世界に一つしかない楽器の数々を見比べてみてください。
もちろん、現代と全く異なる形の、弓の形にも注目。
【使っている道具を見る】
楽器の近くに置いてある小物も見てみると楽しめます。
松やにを入れた小箱にも素敵な装飾があったり、小さな楽器(口琴など)を入れる楽器ケースにも、演奏家の細部に至るまでのこだわりがみられます。
バッハやモーツァルトといった、音楽室の壁にかかっている肖像画の作曲家たちよりも数百年昔の音楽は、学校教育では習いませんし、知られていないけれども魅力的な音楽に溢れています。
ルネサンスの音楽を聴くとき、いつも時間の流れる感覚が現代と異なる気がします。
というのも、やさしく語りかける音楽に夢見心地になって、時間がゆっくり流れているような錯覚にとらわれるからです。
ぜひ食わず嫌いにならずに、ゆったりと流れる心地よい時間を体験して頂ければ幸いです。
中世・ルネサンスの音楽は、私のクラシック音楽講座(不定期開催)の第1回、でも詳しく紹介していますので、もっと詳しく学んでみたい、という方はメッセージにてお問い合わせください。次回の開催日をご連絡いたします。
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2017年2月12日
ジョルディ・サヴァール& エスペリオンXXI
@Carnegie Hall, Zankel Hall
Jordi Savall, Director and Treble Viol
Philippe Pierlot, Alto and Bass Viols
Imke David, Tenor Viol
Lorenz Dufschmidt, Bass Viol
Xavier Diaz-Latorre, Theorbo and Guitar
David Mayoral, Percussion
● Link
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