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こんにちは、MUCHOJIです。
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スプリング・レボリューション! byアンダーソン&ロエ ピアノデュオ
アンダーソン&ロエ ピアノデュオを聴きにブルックリンのウィリアムズバーグへ。
アンダーソン&ロエ といえば、Youtubeで噂を呼び再生回数100万回超。
アメリカのクラシックチャートで12週連続トップの 快挙をなしたピアノデュオ。
その演奏は、 「酔っ払ったモーツァルト」「セクシーすぎるカルメン」
なんて呼ばれていたりもします。
演奏だけでなく、舞台上で行われるすべてをエンターテイメントに仕立て上げる
ピアノデュオです。
たとえばこんな感じ。
セクシーすぎるカルメン・ファンタジー
Carmen Fantasy for Two Pianos (ANDERSON & ROE)
禁欲と誘惑… ピアソラのリベルタンゴ
Anderson & Roe Piano Duo play "LIBERTANGO" (Piazzolla)
今日は「スプリング・レボリューション」と名付けられた春がテーマのコンサート。
とはいっても一般に「春」と聞いてイメージする暖かで華やかなプログラムのような、
そんな生易しいものではなく、ストラヴィンスキーの「春の祭典」とか、
ピアソラの「春」など、刺激的で聴く方もどっぷり春の魔力に浸かっちゃうような
曲目がずらり。
RITE OF SPRING 100 Trailer - Anderson & Roe Piano Duo
(ちょっと気持ち悪い表現があるので、虫が苦手な方は2つめのビデオをどうぞ)
Anderson & Roe - THE RITE OF SPRING (1 of 10) - Introduction to Part I
実は今日のコンサート会場“ナショナル・ソーダスト National Sawdust”が
どんなところなのか、というのも興味があって、これも公演に出向いた理由のひとつ。
ナショナル・ソーダストは、ブルックリンのウィリアムズバーグに2015年9月に
オープンした音楽ホール。
作曲家のパオラ・プレスティーニに率いられ、
有名アーティストたちのコミュニティによってキュレートされた
ナショナル・ソーダストは、ミュージシャンたちが実験と探求を行う場となっていて、
かなりコアなファンから初心者まで、ジャンルを問わずにお手軽に価格で音楽を
楽しめる場となっています。
元々は1世紀の歴史を持つ工場だった場所は、レンガシェルの造りを残しながら、
かなり柔軟で最先端の音楽ホールとなっています。
バーもあってアルコールを楽しみながら演奏を聴くこともできるので、
ライブハウスのようでもあります。
まず会場についてみて、おお!と思ったのは、これまでのコンサートホールや
ライブハウスのイメージの「ブラック」ではなく、「ホワイト」という斬新なホール。
ホール内装が四角ではなく、アシンメトリーな多角形でできているのも特徴。
かっこいい!
ブルックリンのウィリアムズバーグの中でも、Bedford Avenue周辺は特におしゃれな
地域ですが、これは抜きん出ています。
ちなみに外観はこんな感じ。内装とのギャップがまたいいです。
収容人数は1階が約60人。バルコニーも入れると約80人といったところでしょうか。
いった当日は客席の間隔にかなり余裕をもたせてあったのですが、
頑張れば100〜120人くらいは入りそう。
壁の細長い照明は消えているときはニューヨークのバスのドアについている
開閉ボタンにそっくりな黄色ですけど…
一番面白いと思ったのは、舞台上の壁に電源などの端子があること。
普通は舞台のフロアポケットのように、舞台上にポケットがあってその下に隠されていることが多い、もしくは壁に隠されていることが多いのですが、
このように思いっきり見せる端子ってクラシックの音楽ホールとして使われる場としては
とっても斬新!
暗くて見えづらいけど、端子が壁面にむきだし。 |
さて、アンダーソン&ロエの演奏ですが、彼らは単なるピアニストではなくて
アクター&アクトレス。終始エンターテイナーに徹しているところがすごい。
そして、そのアクティングを支えていたのが照明。
この日最初に演奏されたのは、ストラヴィンスキーの「春の祭典」ですが、
まず暗転から、かすかな灯りの中で静かにテーマが流れていたところで、
音楽の流れが急激に変化するタイミングで突如舞台が真っ白に。
春の祭典の個々の楽章に合わせて様々な色の照明が当てられていましたが、
その切り替えのタイミングは音楽の流れが劇的に変わる部分に合わせていたので
結構シビアでした。
照明さんがスコアが読める人であることは少ないので、通常、音楽的知識のある人が
補助員として、あるいはステージマネージャーが楽譜を追いながら適切な箇所で
照明さんに指示を出しています(キュー出し)。
失敗するととんでもないことになるので、かなり緊張する役目。
正直、この「春の祭典」のような作品のキュー出しはあまり引き受けたくない…
実は日本で彼らの演奏を聴いたときは、照明演出がなかったので、
私を含め、Youtubeを見すぎた人は「アレ?」と思ったと思うんです。
でも、こうして照明アリだとエンタメ性がぐっと増して、
彼らの表現したい世界観が伝わってきました。改めて照明の効果ってすごい。
ちなみにアンダーソン&ロエは、楽譜はiPadに投影されたものを使用していて、
Bluetoothの足ペダルで譜めくりをします。足ペダルはこういうの。
(ピアノのペダルの左にある黒い物体)
これは、譜めくリスト(譜めくりさん)を用意しなくていいという利点のためだけでなく
たぶん彼らは、内部奏法(鍵盤ではなくピアノの弦を直接はじくなどして音を出すこと)
を結構な頻度で行うから、というのもあると思います。
譜面台や紙の譜面は内部奏法をするときに邪魔ですから。
アンコールはバーンスタインの「マンボ」。
「この曲にはお客さんの協力が必要なんですよ」という前置きをMCでしておいて、
「マンボ!」の掛け声をいれなきゃいけない箇所をお客さんとリハーサルしてから
スタート。
お客さんも掛け声を入れるタイミングを逃すまいとドキドキしながら聴くという
アンコールでした。
演奏のみならず、アイコンタクト、ちょっとした仕草、MC、 といった舞台上で行われるすべてを まるごとエンターテイメントに仕上げるプロ意識に脱帽。
そしてこのナショナル・ソーダストという音楽ホール。
収容人数とチケット価格からして絶対採算が取れないはずなのに、
質の高い演奏に安いチケット価格...
ドネーションなどで賄っているのでしょうか。
アーティストによるキュレーションなので、
個性的であれば若くても出演機会が得られる点でアーティストにとっても嬉しい。
ニューヨークにいるからこそ、アーティストも聴衆も得をしていることって
たくさんあるんだろうな、と改めて思いました。
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2016年3月9日 @National Sawdust
アンダーソン&ロエ ピアノデュオ
ストラヴィンスキー:春の祭典
グルック:オルフェウスとエウリディーチェより
ピアソラ:春
オブリビオン
リベルタンゴ
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