2016年2月2日火曜日

4つの手が舞う!20本の指が踊る! フィテンコ&ザイツェヴァ ピアノ・デュオ


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こんにちは、MUCHOJIです。
初めて当ブログをご訪問の方は、「はじめに」をお読みください。
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2013年7月6日
フィテンコ&ザイツェヴァ ピアノ・デュオ

ニキータ・フィテンコさんと
カトリーナ・ザイツェヴァさんのピアノ・デュオコンサート
ロシア出身の夫妻によるデュオで、
前半は4手連弾。後半は2台ピアノ。

シューベルトの「幻想曲 ヘ短調」は、
2人の対話どころか眼を閉じると
一人で弾いているかのようなまろやかな調和した響き。
それはシューベルトの物悲しい旋律が
甘く聴こえるほどの親密さ。

「愛を歌うと哀しみになり、悲しみを歌うと愛になった」
と自嘲していたシューベルト。
なんとも言えない痛切なメロディーが心を打ちます。

そして存命の作曲家ローゼンブラットの
「2つのロシアの主題による小協奏曲」も印象的な曲。

1956年に生まれたローゼンブラットは
戦後世代のソビエト、ロシアの作曲家のなかでも
一風変わった作風を持ち味としています。

クラシックに留まらない映画音楽、ポップス、ジャズといった
様々なジャンルの音楽に長けていたローゼンプラット。
彼の音楽はエンターテイメントに満ちています。

ロシアの2つの主題による小協奏曲」は、
赤軍合唱団や「うたごえ喫茶」で日本でもおなじみの
「カリンカ」と「モスクワ郊外の夕べ」の2つの主題を用いています。
誰もが知る大衆的な2つの主題が
パロディーっぽくなりすぎず
センス良くジャズやポップスのエッセンスで
味付けされた曲。

この曲は別名「二人羽織」とも呼ばれています。
これはCDでは絶対にわからない生演奏ならではのお楽しみなのです。
ひとりが内声を、もうひとりは外声を弾くので、
この名がついています。

出た!

宗次ホール・オフィシャル・ブログより

一方、2台ピアノの後半は、連弾の前半と一変して
二人の個性がより強く感じられてときに衝突。

「私はこう弾くからあなたがついてきなさいよ。」
「君がそう弾くなら僕はこうするよ。」
という2人の奏者の声が聞こえてきそう。

コンサートのメインはラフマニノフ作曲「交響的舞曲」
ロシア革命、そしてソビエト政権樹立を受けて
アメリカに亡命したラフマニノフは、
作曲者としてよりもピアニストとして
アメリカの人々に迎えられました。

超絶技巧ピアニストとして人気を博したラフマニノフは、
アメリカではほとんど作曲を行いませんでした。
もちろんそれは演奏活動で多忙だったことが挙げられますが、
愛する祖国に永遠に戻れないという喪失感が
彼の創作意欲を失わせたといっても過言ではないでしょう。

その中で、1940年、世を去る3年前に、生まれた交響的舞曲。
これこそがラフマニノフの最期の作品となりました。

よくあるオーケストラの2台ピアノ編曲版ではなく、
この作品は先に2台ピアノ版が完成され、
その後でオーケストラ版に編曲されています。
2台ピアノによる初演はラフマニノフと
20世紀の大巨匠ウラディミール・ホロヴィッツによるものだったそう。
一体どんな演奏だったのかとても気になりますが、
残念ながら録音は残っていないようです。

曲の最後に登場する、ラフマニノフが頻繁に引用した
グレゴリオ聖歌の“怒りの日”のメロディー
(ファ・ミ・ファ・レ・ミ・ド・レ)は執拗なほど繰り返され、
ドラマティックにこの曲を締めくくります。

2台ピアノで演奏される「交響的舞曲」は、
音の波が押し寄せてくるようで、圧巻。





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2013年7月6日 @宗次ホール
フィテンコ&ザイツェヴァ ピアノデュオ

ピアノ:ニキータ・フィテンコ
ピアノ:カトリーナ・ザイツェヴァ

[第1部:4手連弾]
シューベルト:幻想曲 へ短調 作品103, D940
ラフマニノフ:ピアノ連弾のための6つの小品 作品11より
 「舟歌」 「スラーヴァ(栄光)」
ローゼンブラット:ロシアの2つの主題による小協奏曲
[第2部:2台ピアノ]
ショスタコーヴィチ:2台のピアノのための小協奏曲 イ短調 作品94
ラフマニノフ:交響的舞曲 作品45a(作曲者自身による2台ピアノ版)

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