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こんにちは、MUCHOJIです。
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2014年12月3日
コミタス四重奏団 宗次ホール公演
アルメニアの宝石、と讃えられるコミタス弦楽四重奏団。
1924年に結成され、90年以上の歴史があります。
世界で最も長く続く弦楽四重奏団といわれ、
ソ連の名だたる音楽家との共演を果たし、
また世界各地で演奏活動を行ってきました。
現在も、アルメニアを代表する演奏グループとして活動を続けています。
弦楽四重奏のグループ名に冠されている、コミタス(1869~1935)は、
アルメニア正教の神父であり、
オスマントルコのアルメニア迫害に抵抗した宗教音楽家として、
今もアルメニア国民から敬愛されています。
公演当日は、アルメニアの民謡をもとにした小品13曲の後に、
アンコールとしてハチャトゥリアンの「剣の舞」を
弦楽四重奏で元気に演奏して終演。
非常に素朴でおおらかな音楽でした。
誤解のないように表現するのが難しいのですが、
「合っていない」ことがこれほど魅力的に聴こえるカルテットは初めて。
サウンドの重さは「旧ソ連の…」という枕詞がぴったり。
豊かな倍音のみならず、楽譜にない音もたくさん聴こえてきました。
つまり、五線譜上で表現できないリズムと音程が炸裂していたのです。
もしかしたら、それが伝統というものなのかもしれません。
楽譜には記載することのできない、
彼らが長年、年長者から口頭で伝えられてきたリズム、音程、ニュアンス…
これらは、生演奏を聴くからこそ楽しめるもの。
コンサート前半はヘンデルやチャイコフスキーといった
クラシックのオーソドックスな作曲家の演奏。
とはいっても、前述の通り、オーソドックスなクラシック音楽の演奏も、
揺れ動く音程がいかにも素朴で田舎臭く、
どこでも聴いたことのない、面白い音楽となっていました。
聴衆が楽しみにしていたのは後半でしょう。
メインは、コミタス(アスラマジャン編曲)の
「弦楽四重奏のためのアルメニア民族音楽14の小品 より」
アルメニア音楽の父と呼ばれる作曲家、コミタス・ヴァルダペット(1869-1935)。
(本名はソゴモン・ソゴモニアンで、コミタスというのは修道士名。)
その生涯は波乱に満ちた悲劇的なものでした。
現在のトルコ領のアルメニア人家庭に生まれ、
生後6ヶ月で母が死に、
その後アルコール中毒となった父も後を追うようにして亡くなって、
孤児となったコミタス少年。
しかし彼の美しいボーイソプラノに音楽の才を認めた人が、
彼にアルメニアの聖地エチミアジンの神学校への入学を勧めます。
程なくして彼はこの神学校に入学し、
アルメニア正教の修道士として神に奉仕する一方、
音楽を学ぶことになりました。
孤児だったがゆえに、教会は彼にとって家庭でした。
そしてトルコという異郷で生まれたからこそ、
教会を取り巻くアルメニアの自然や人々は、
尚更彼に強く自分のルーツを感じさせるものでした。
この2つのことがコミタスを、
アルメニアの聖歌と民謡の研究へ駆り立てたのです。
さらにドイツやフランスに渡り研鑽を積み、
そこで学んだ最新の西洋音楽をアルメニアに紹介していることも見逃せません。
このようにしてアルメニアの音楽に根ざした近代音楽を打ち立てた功績こそ、
まさに彼が「アルメニア音楽の父」と呼ばれる理由なのです。
「14の小品」の原曲はアルメニアの民謡からとられた歌曲です。
いずれの曲もアルメニアに足を運んだことの無い人ですら、
その土地の風の音、土の香りを伝える濃密な異国情緒に溢れ、郷愁を誘います。
この弦楽四重奏版は1曲目に演奏された「パッサカリア」と同様に、
コミタス四重奏団の初期メンバーであるアスラマジャンが編曲したものです。
いずれも短い曲ばかりですが、
素朴な美しさを内に秘めた宝石のような作品たちです。
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2014年12月3日 @宗次ホール
コミタス四重奏団
第1ヴァイオリン:エドゥアルド・タデヴォシャン
第2ヴァイオリン:シュージィ・イェリツィアン
ヴィオラ:アレクサンダー・コセミャン
チェロ:ハスミク・ヴァルダニャン
ヘンデル(ハルヴォルセン/アスラマジャン編曲):パッサカリア(弦楽四重奏版)
チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ(弦楽四重奏曲 第1番 ト長調 作品11 より)
ミルゾヤン:弦楽四重奏曲 ニ短調 「主題と変奏」
コミタス(アスラマジャン編曲):弦楽四重奏のためのアルメニア民族音楽14の小品 より
(※抜粋13曲/番号は原曲の通し番号だが、当日は入れ替えて演奏された。 )
1. 愛しのショゲル 10. 雲 5. 赤いショール 11. 祭りの歌
13. 春 9. 行け!行け! 12. 干草作りの農民歌 4. 鶴
3. おーい、ナザン 2. 鈴掛の木と彼女 14. 小さな山鶉の歌
6. 少女たちの踊り 8. エチミアジン地方の踊り
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