ミンゲット・クァルテット

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こんにちは、MUCHOJIです。
初めて当ブログをご訪問の方は、「はじめに」をお読みください。
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ミンゲット・クァルテット　サルビアホール公演。

ミンゲット・クァルテットはキレッキレタイプの弦楽四重奏団。
ヴィトマン作曲の「狩の四重奏」がよく似合います。

100席しかないサルビアホールは演奏家との距離が近く、
息遣いや互いのコンタクトもつぶさに手に取るように感じられます。

「狩の四重奏」はエンタメ性の高い作品なので、
じっくり聴きたい、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲の間に置かれると
ちょうどいい感じです。
※この日のプログラムは、ヴィトマン作曲の「狩の四重奏」を挟んで、
メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第２番と第６番。

1973年ミュンヘン生まれのヴィトマンは、まだ40歳そこそこでありながら、
現代ドイツを代表する作曲家、また卓越したクラリネット奏者としても知られています。

近年彼の作品は人気を集めていますが、
その中でもこの「狩の四重奏」は著名なカルテットがこぞって取り上げる超人気の作品。
2003年、ヴィトマン30歳の時の作。

「狩の四重奏」はその名の通り、「狩」の様子を模した曲。

刀を振りかざすように弓を頭上にかかげ、ヒュッヒュッと５回不気味に振り下ろし、
“Hay!!”というかけ声と共に４人の奏者は狩に出かけます。

獲物を求めて山野を駆け巡る間には、様々な工夫が凝らされています。

ある時は弓の木の部分で弦を奏で、別の時は駒より下を弾きます。
果てはヴァイオリンも膝の上に立ててチェロのように奏でる...等々、
ありとあらゆる特殊技巧が用いられています。

終始一貫して舞曲風の一定のリズムが刻まれていますが、
このいささか滑稽なほどの明るいリズムが、ふと気づいた時には不気味に迫り、
最後に明らかにされるのは、実は獲物は動物ではなく、
弦楽四重奏の中のある奏者だという恐ろしい筋書き。

断末魔の叫びを上げ、残る３人から狩られるのは一体誰なのか!?

結局それは、チェロなのですが、これがヴィオラだったら、笑えない。
※興味のある方は、「ヴィオラ・ジョーク」を検索してみると良いかも。

ミンゲット・クァルテットは嬉々として演奏しているように見えました。
「狩の四重奏」は東京近郊だけで
この１ヶ月に３つのカルテットが取り上げているという超人気曲。

リンクはラガッツェ・クァルテットというオランダの若手弦楽四重奏団による演奏。
ラガッツェ・クァルテットは大阪国際室内楽コンクールで、
超個性的な演奏によって聴衆を驚かせたオランダの若手弦楽四重奏団。
彼らのことはまた別の機会に書きたいと思います。 
THE HUNT by Ragazze Quartet

さて、ミンゲット・クァルテットによる
当日のメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第２番＆第６番の演奏は、
ちょっと集中力に欠けているようでした。

最初に演奏されたメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第２番第１楽章の
アレグロ・ヴィヴァ―チェに入った直後、
チェロの弦が緩むというアクシデントが発生。
直ぐにチューニングをやり直し、無言で中断した個所から演奏を続けます。

まだ曲が始まってそれほど経っていないので、なぜ最初に戻って弾かないんだろう、
と不満に思った方もいるでしょう。

まぁ、でもそこで気づいたのは、彼らはスコアで演奏していること。
自分の楽器の旋律した記載されていないパート譜ではなく、
スコアで演奏しているからこそ、
中断したところから言葉を交わすことなくすぐに始められるんでしょう。

ちなみに、ヴィトマンのスコアは巨大でダンボール紙のような譜面台に
なんとか載っけて弾いている、という感じでした。

チラシで見るよりさらにライオンヘアーが印象的なチェリスト（でもかっこいい）や、
ふわふわ浮きまくっていてほぼ空気椅子のヴィオラ奏者...等々、
ミンゲット・クァルテットは、ヴィトマンの「狩の四重奏」以外にも、
視覚的にもおもしろいクァルテットでした。


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2014年11月11日　＠サルビアホール
ミンゲット・クァルテット　

第１ヴァイオリン：ウルリヒ・イスフォート
第２ヴァイオリン：アネッテ・ライジンガー
ヴィオラ：アロア・ソーリン
チェロ：マティアス・ディーナー


メンデルスゾーン：弦楽四重奏曲 第２番 イ短調 Op.13
ヴィトマン：弦楽四重奏曲 第３番「狩の四重奏」
メンデルスゾーン：弦楽四重奏曲 第６番 へ短調 Op.80