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こんにちは、MUCHOJIです。
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2015年7月6日
漆原朝子(ヴァイオリン)&ベリー・スナイダー(ピアノ)
漆原朝子さんは10代から天才少女として頭角を現し、
巨匠ルドルフ・ゼルキンが自ら選んだ生涯最後の共演者。
若い頃から活躍していただけあって、
「昔、朝子さんの演奏を聴いてすごく良かったからまた聴きたくてね…」
という常連さんもちらほら。
朝子さんといえば、いぶし銀のような音色と言われ、
ベートーヴェン全曲演奏会のような活動を通じて
正統派の深い音楽を追求することで高い評価を得てきました。
朝子さんのどこか悲哀を感じさせる音色は
ヴァイオリンが美しく泣(鳴)いているよう。
私はシューマンのソナタ3曲が収録されているCDを聴いて
彼女の世界に惹き込まれました。
今回は全国11箇所を回るリサイタルツアーで、
共演歴の長いベリー・スナイダーさん(ピアノ)と。
スナイダーさんは初めての共演の時に
「とても繊細な方で、調弦のAの音をすごく丁寧に、
思い入れのある美しい音でくださって、
その瞬間にすっと空気が変わります。
それは今でも変わりません。」と
朝子さんが絶大な信頼を置くピアニスト。
平日の午後だからこその低価格で聴ける、
名手の手によるコンサート。
宗次ホールのギフト券を購入するとおまけでついてくる
プレゼントチケット2枚で無料で聴けてしまうのもすごい。
それを使うのにこのコンサート狙って来た音楽愛好家も
たくさんいました。
前半は、イギリスの作曲家エルガーの作品。
エドワード・エルガーといえば「威風堂々」「愛の挨拶」など、
クラシック音楽に詳しくない方でも必ずどこかで
耳にしたことのあるような名旋律で大成功を収めました。
しかし、それ以外の曲となると極端に演奏される機会が
少ないのが現状。
まず最初に演奏された「朝の歌」は本来、
ピアノとヴァイオリンのための2つの小品(作品15)の中の1曲。
ではもう1曲は… もちろん「夜の歌」なのです。
ピアノの伴奏のリズムパターンはほとんど「愛の挨拶」と
同じですが、メロディーはもっと憂いや陰りを帯びた
ちょっと大人っぽい雰囲気。
朝子さんの憂いを帯びた音色のヴァイオリンにぴったり。
それもそのはず、「朝の歌」は「愛の挨拶」の約10年後、
18の作品。
エルガーは売れっ子になるまで、
音楽教室でレッスンをして生計を立てていました。
この「朝の歌」と同時期に書かれた「エニグマ変奏曲」
によって一躍脚光を浴びます。
エルガーの下積み時代における最後の作品でもあるわけです。
エルガーはヴァイオリンとピアノのための美しい小品を
多く残しましたが、1891年に書かれた「ラ・カプリシューズ」
もその一つ。
「気まぐれな女」という意味ですが、
曲を聴けば、そこに愛情が込められているのがわかるでしょう。
揺れる女心を表現しつつ、そんな気まぐれが可愛くて仕方ない…
というような愛情たっぷりの小品。
いずれにしても、非凡なメロディーメーカーの才を持った
エルガーの魅力が、十分感じ取れる作品たちでした。
当日、私がもっとも楽しみにしていたのは、
エルガーのヴァイオリンソナタ。
1918年に作曲された、エルガー唯一のヴァイオリンソナタ。
世はストラヴィンスキーやベルクに代表される
前衛的な作品の全盛期でしたが、
エルガーは昔を懐古しながら、
敢えてブラームスやフランクのような古典的で
ロマンティックな作風で書き上げました。
しかし、ソナタ完成前に献呈予定だったエルガーの良き理解者、
マリー・ヨシュアが亡くなったことから、
第2楽章の表情豊かな中間部の旋律を、
どこか淋しさを感じさせる回想のように第3楽章に挿入。
まばゆいほどに躍動的で開放感に満ちた第3楽章の中に、
一瞬の陰りとロマンティックな薫りを残します。
漆原さんのしっとりしたヴァイオリンと常にやさしく寄り添う
スナイダーさんのピアノ。
あまり知られていない曲ですが、
素朴さと愛らしさ、わずかな湿り気、
そうしたこの作品の魅力が300席の小さなホールの隅々にまで
広がって行くのが肌で感じられました。
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2015年7月6日 @宗次ホール
漆原朝子(ヴァイオリン)&ベリー・スナイダー(ピアノ)
エドワード・エルガー
朝の歌
ラ・カプリシューズ
ヴァイオリンソナタ ホ短調
Op.82
リヒャルト・シュトラウス
歌劇「薔薇の騎士」より ワルツ (プシホダ編)
ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 作品18
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